アジア失明予防の会

NPO アジア失明予防の会は、貧困のため十分な眼科治療が受けられず失明の危機に苦しむアジアの人々を救う支援を行っております。

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●  地方での活動の様子

 まず、私たちが以前から支援を行ってきたハイホンアイセンターと協力して、ハイホン省の貧困地域にて無償の白内障手術を行いました。ハイホンアイセンターのスタッフらはモバイルチームの手術に長けていて、手術機器・手術器具の扱いや手術の準備、患者さんのケアにも慣れており問題なく手術を行うことができました。

 術前の診察は通常であればスリット(細隙燈顕微鏡)を使用しますが、地方では眼科自体がないのでスリットがないことが多く、その場合には携帯用のライトで診察を行います。散瞳下で前房の状態や白内障の程度を診断し核の硬さや散瞳の具合、眼のくぼみ加減や角膜の混濁などの状態により超音波白内障手術(Phaco)を行うか、計画的嚢外摘出白内障手術(ECCE)かを決定します。地方の患者さんの中には翼状片が半分くらい侵入していたり、以前にトラコーマなどで角膜混濁があるケースが多くあり、手術に苦労を要することが少なくありません。

 手術前の準備では看護師は眉毛や睫毛をそってから目の周りをポンビンヨードで消毒して、麻酔は全例でキシロカインの球後麻酔で行っています。

 手術をするのに特別な服装はなく、患者さんはそのままの格好でベッドに横たわり、清潔な布で眼部を覆って手術を行います。手術が終わると患者さんの家族が抱っこして運ぶ姿が印象的でした。

 手術は2台の手術台を利用して、片方でPhacoもう一方でECCEをしています。ここで使用するPhacoの機器は先般日本のODAによりハイホンアイセンターに機材供与された最新の白内障・硝子体手術機器で、これをハイホンアイセンターから地方の病院に運び込んで使用しています。貧しい人々にも手術の質を落とすことなく、安心して手術を受けてもらえるようにシステムを整えています。手術当日は患者さんだけでなく、家族の方も大勢病院に来られ、何かイベントがあるのではないかと思われるくらいの人だかりとなりとても混雑した状況になっています。どの患者さんも術後の経過は順調で、『ありがとう』と言って家に帰っていく患者さんと家族のうしろ姿をみていると、このプロジェクトを実施している私達もとても嬉しくなってきます。

 2004年8月よりハイホン省より始めたこのプロジェクトですが、現在までに実施した無償の白内障手術は300件以上になります。そしてこの『Save the Vison』プロジェクトの現地での評価はとても高く、ハイホン省以外の省からも次々に要請があり、3月にはビンフック省、4月にはフンイエン省でも無償の白内障手術を行いました。また5月の連休中にはフエ省でもこの活動を行いました。10月からはクアンリン省でも行う予定になっています。これらの省にはまだ超音波白内障手術機器が導入されておらず、当会がAMOからの援助を受けて超音波白内障手術機器や手術用顕微鏡などを準備して白内障の手術を行っています。今後は無償で手術を行うだけでなく、各地方の医師らが自らの手で手術ができるように、超音波白内障手術の技術指導や顕微鏡や超音波白内障手術機器・器具などの支援も行っていきたいと考えています。

 これらの活動は現在ベトナム政府の保健省管轄下の地方保健衛生管理局も巻き込んだ活動となっており、局長のタインさんが支援をしてくれています。本当に地味な草の根の活動ですが、日越の友好の一端を担った活動となっています。全くの無償の活動ですが、とてもやりがいのある仕事だと思っています。これらの活動の興味があり、参加を希望される先生がおられましたら是非、アジア失明予防の会・事務局までご連絡をいただけましたら幸いです。どうか今後とも皆様のご支援のほどよろしくお願い致します。

手術前に眉毛と睫毛をカミソリで剃っている様子
2台の手術台で行っている(PhacoとECCE)
PhacoではODAで供与された機器を使用
手術が終わると家族が抱っこして運ぶ
眼内レンズの度数を確かめている(Dr.Hung)
ビンフック省のフォーン保健局長と懇談
フンイエン省人民委員会のロアン副議長と懇談
ホン先生と手術を終えてハノイに帰るバスの中で
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