アジア失明予防の会

NPO アジア失明予防の会は、貧困のため十分な眼科治療が受けられず失明の危機に苦しむアジアの人々を救う支援を行っております。

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●  今後の展望

 ベトナムの眼科医療は先に日本の約10年前の水準と申し上げましたが、ある分野では日本の水準と変わりない分野もあります。この先数年で急速に発展していくことは間違いありません。今後日本がベトナムに果たしていく役割はとても大きいと思われます。ベトナムでの眼科医療協力を考えるときに、現在は発展段階にあるということを考えながらハード・ソフトの両面の協力体制が必要だと考えられます。また、地方と都市部との医療水準のギャップが年々拡がっており、眼科医療の水準を向上させるにはまず、個々の医師の水準をあげなくてはならず、それには都市部の眼科医師だけでなく地方の眼科医師をも含めた医師の教育が必要で、講習会や勉強会などを頻繁に実施していく必要性があると思いました。また、病気の早期発見、早期治療のために積極的に地方へ行き、検診、治療活動も行っていく必要があると思います。

 次に糖尿病の問題ですが、恥ずかしながら私はベトナムという国は糖尿病とは無縁の国だと思っていましたが、その数の多いことに驚かされました。糖尿病網膜症に至ってはほとんどの患者さんが放置されており、かなり重症の糖尿病網膜症で失明している人も少なくありません。ベトナムでの糖尿病の患者数は今後2~3年で人口の4%を超えると言われており、内科医師を含めた糖尿病の患者さんの総合的なフォローを考えなければならないと思います。そのため現在テレコム病院の院長と掛け合い、テレコム病院内に糖尿病アイセンターの設立を要望しています。

 最後になりましたが私の今後の抱負を申し上げますと、ゆくゆくは日本とベトナムが協力して教育機関を持った最新設備の眼科病院を設立したいと考えています。これらの施設に最新の研究施設も整備できればと考えています(残念ながらまだベトナムでは研究施設が整っていません)。ここから育っていった多くの医師やスタッフが世界にでて活躍することを願っています。またベトナム人医療スタッフと日本人医療スタッフの交流をはかり、ベトナム人スタッフの日本への留学を積極的にサポートできる体制も整えたいと思います。

 この活動は現在ベトナムのハノイを中心に行っていますが、将来的にはベトナムの各地方都市にも拡げ(ハイホン、フエ、ダナンの眼科病院からも要請があります)、ひいてはラオス、カンボジアやミャンマーなのどの東南アジア諸国に順次拡げていくことを考えています。東南アジアの眼科医療の水準はまだまだ遅れており、私たち医療先進国の支援を必要としています。ドイツのCBMやアメリカのORBISやSight First等はかなり組織的にベトナムの眼科医療の発展に貢献を行っています。また韓国の民間病院もホーチミンに眼科専門病院の設立を考えており、最近ベトナム政府の許可がおりましたと聞きました。私たち日本人としても何かNGO組織を設立し、眼科医療の国際貢献をしたいと考えています。

 そこで現在木下教授のご支援のもと眼科専門の国際協力支援団体のNGO(アジア失明予防の会)を京都府立医科大学内に設立しようと準備中です。最近この活動が新聞記事で紹介され、少しずつ支援の輪が広がっています。またベトナムの日本大使館も何らかの形で支援をしていただけることになりました。この活動に興味があり、ご賛同していたただける方がございましたら、どうかご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

ベトナムの日本大使館にて(服部則夫大使と)
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